【流出】パナマ・ペーパーズ、詳しく調べてみた

各メディアが挙って取り上げてる・今後取り上げるこの「パナマペーパーズ」っていったい何なのか詳しく調べてみた。

「パナマペーパーズ」とはドイツの新聞社Süddeutsche Zeitung(ズュートドイチェ・ツァイトュング)が１年ほど前から入手してるデータを指し、そのデータはパナマに拠点を置く法律事務所、Mossack Fonseca（モサック・フォンセカ／モスフォン）の顧客情報である。

モサック・フォンセカ本社所在地：

モサック・フォンセカ本社写真：

vice.com

モサック・フォンセカは１９７７年に創業し、従業員数５００人以上、ロンドン、シンガポール、上海等と世界各国に支社を置き、企業や個人が税対策にペーパーカンパニーをタックスヘイブンに設立する際に依頼する法律事務所である。本社はパナマにあり、現地にはこの手の会社が多数存在し、モサック・フォンセカを含める大手計７社がパナマに拠点を置くペーパーカンパニーの半数以上を代表する。モサック・フォンセカは業界４位に位置する。日本には支社は無く、日本国内の仲介会社を通して依頼されることが殆どのケースと考えられる。

さて、今回メディアを騒ぎ立てる大きな理由の一つはリークされたそのデータ量にある。
総データ量２．６テラバイト、ファイル数１，１５０万件と過去にあったリークの中でも群を抜いている。

ファイル数　 11,500,000
総データ量　2.6 terabyte

会社の顧客情報であるので、データ構成もそれに副って、一つの会社・顧客に対してフォルダーが設けられている模様。そのフォルダーには設立された会社、さらにそのフォルダーにはメール履歴、ＰＤＦファイル、画像、パスポートの写しなどが入っている。

これらのデータはフォルダー分けされているものの、スキャンや画像が大半を占め、マンパワーで目を通すには膨大すぎる。
そこで用いられたのがnuixというオーストラリアの会社が手掛けるインデックス化プラットフォームソフト。膨大のデータを画像から文字へ変換し、グーグルサーチエンジンの様に、全ての情報をインデックス化し検索しやすくした。

データが持ち込まれたドイツのズュートドイチェ・ツァイトュング社には解析に当たる専門記者が５名しかおらず、作られたデータベースを利用を世界の報道機関から受け入れた。加わった報道機関やジャーナリストだけが利用できる掲示板（フォーラム）を容易し、互いに情報提供・調査を進めた。
日本からは共同通信社と朝日新聞社が参加しているので、恐らく日本人関係者については調査・取材が進行されている。

朝日新聞が現段階で報じてる内容には、日本からは約４００件の情報がヒットするという。

ＩＣＩＪと提携する朝日新聞が分析・取材したところ、政治家ら公職者は見当たらなかったものの、医者や実業家らが資産や利益を租税回避地に移そうと試みていたことがわかった。
兵庫県内の医師（６０）によると、東南アジアで病院を開業しようとした際、香港のコンサルタント会社から勧められ、２０１１年に英領バージン諸島にある会社の株主になった。「病院で利益が出たらこの法人にまわす考えだが、今のところ余裕はなく、メリットは享受していない」という。さらに別の病院も開きたいと考えており、「海外からの投資を集める窓口としても使いたい」と語った。

当初、匿名の情報提供者がズュートドイチェ・ツァイトュング社に情報提供してから既に１年近くが経過してるので、データ解析も進行し、多くの情報がICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)のサイトで分かりやすくグラフ化され公開されている。

1977年～2015年の間に設立されたペーパーカンパニー数

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モサック・フォンセカ設立後は順調に増え続けるも２００８年のリーマンショック辺りをピークに急落。２０１３年にあった同様のオフショアリーク以降更に下降している。

モサック・フォンセカと取引を行った仲介業者の活動国

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合法・違法、理由がなんであれ、基本的に個人や企業が直接モスフォンと取引することは考えにくいので、最低でも依頼主国内にある、十分なノウハウを保有する銀行や法律事務所が仲介する事になる。モサック・フォンセカと関係を持っていた仲介企業は14,000社を超え、グラフはそういった会社の所在地が多い国順に表している。
香港　2212社
イギリス　1924社
スイス　1223社
アメリカ　617社
タイ　185社
カナダ　102社
ブラジル　403社
日本　13社
韓国　6社

1977年～2015年間のペーパーカンパニーの設立（青）と閉鎖（赤）

icij.org

ペーパーカンパニーを設立する時は一時的なケースが多いよう。その為か、設立と閉鎖はほぼ同水準。

最も人気のタックスヘイブン地

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モサック・フォンセカを通して最も多く利用されたタックスヘイブンは英領バージン諸島が断トツ。

政治家・著名人の名も続々と出始めてる。

現・元大統領や指揮官　12名
大統領や指揮官関係者　61名
政治家や官僚　128名
フォーブスに名が載る億万長者　29名
関係する国　202国

公表されていく名前はこちらの一覧に加算されていきます。
報道が多いサッカーのスーパースター、メッシに関してはパナマに住所を置く『Mega Star Enterprises Inc.』という会社の登記簿に父親と共に名を連ね、予てより噂されている莫大の契約金の租税回避手段が明らかになりつつある。
日本でもファンが多いジャッキー・チェンについては、モサック・フォンセカを通して管理されている会社が少なくとも6社存在している。現段階では租税回避に利用している証拠は無い。

最後に、気になる2.6テラのデータファイルだが、ICIJが取った開示方法（DBからの検索やフォーラム）の為か、まだ何処にも漏れていない模様。
現時点：　（04/05/2016　07:41）　ではウィキリークスが全ファイル公開を仄めかしながらも、一部（150ページ程度）を一般公開してるので、気になる方はこちらからどうぞ。日本人や日本企業に関する情報は現在公開されている分に入ってませんが、Süddeutsche Zeitung社の調査報道チームの記者、Frederik Obermaierさんによれば、日本のヤクザは絡んでる模様。

パナマペーパーズの全貌は５月上旬公開するとのことです。